以前の記事で、対人恐怖を感じていたころの話を書きました。
人が怖いと感じるが故に、私が日常的に行ってきた(というか、ある意味やらざるを得なくてもうくせになっていた)人間観察。
私のこれまでの人生の中に登場してくれた、印象的な人々について(勝手に笑)振り返り、考察していくシリーズです。
今回は、海外で出会ったサンタクロースみたいなバスの運転手さんのおはなし。
(はじまり、はじまり~)

日本のバスの運転手さんと言えば… 皆さん制服を着て帽子を被っているし、みんな同じに見えますよね。
違いと言えば、眼鏡をかけてるか、かけてないか?くらいでしょうか…
たまに声が特徴的な人がいて、その声で「あ、いつもの人だ」とわかったりすることはありますね。
個人的には、海外のバスのドライバーさんって、なんだかすごく面白かったんです。
制服は着ているけど、みんな違って、個性があって。
底抜けに明るい笑顔で、大きな声で挨拶してくれる人。
鼻歌を歌いながら運転する人。
ハーフパンツの制服を着ていて、見える足がタトゥーで埋め尽くされている人。
強そうなおばさん。
怖そうなおじさん。
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もちろん、ごくごく普通の人もいるんです。
でも、キャラクターが濃い人が多かった気が…笑
「あ、あの人だ」
と、すぐわかるって感じ。
たまたま私が住んでいたところだけ?田舎だったから?
だとしたら、それはそれで面白い笑
このサンタクロースみたいな運転手さんは、私がある街に住んでいた時によく乗っていた路線で何度か見かけていた人でした。
白くて長いひげを生やしていて、身体もちょうどいい具合に大きくて、まさにリアルサンタ!
笑顔で挨拶をしてくれる気のいいおじいさん(おじさん?)、っていう感じの人でした。
明るくてやさしい感じがにじみ出ている感じ。
ここからは親しみを込めて『サンタさん』と呼びたいと思います笑
ある日、そのサンタさんが運転するバスに乗った日のこと…

いつも通りのルートを走っている途中で、杖をついた足の不自由なおじいさんがバスに乗ってきたことがあったんです。
そのおじいさんは、サンタさんと知り合いのようでした。
そのとき、バスは空いていて、私の他に乗っていたのは2人か3人くらいだったと思います。
おじいさんがバスに乗ってすぐ、サンタさんとなにやら話しをしていました。
おじいさんが座ると、サンタさんが乗客に向かって
「○○の方に向かって、そこで停まってもいいかい?」
と聞いて来たんです。
お客さんはみんな「OK!」と返事を。
私も「○○ってどこだっけ?」と思いながら、「別に急いでいるわけじゃないし、スマホもあるし…」ということで「OK!」と返事をしました。
すると…
サンタさんがいつものルートと違う道を曲がってしまったんです。
そしてぐんぐん通ったことがない道を走っていく!
「??!」
「どこに向かってるんだろ?」
ちょっと焦りました…
通ったことがない道路。
はじめてみるお店、住宅街…
どこまで行くんだろう…と思いながら外を観ていました。
しばらく行った所でバスが停車しました。
さて、ここでクイズです。
サンタさんはなぜいつもと違うルートを走ったのでしょうか?
正解は…
足の不自由なおじいさんを家へ送るため
でした!!!

…信じられますか?
信じられないですよね?!
日本では絶対にありえないことですよね…
タクシーじゃなくて、バスです。
ミニバスじゃなくて、大型バスです。
しかも民間バスじゃなくて、市営バスです。
バスが停車すると、おじいさんはサンタさんにお礼を言って家に帰っていきました。
私は、結局家とはまったく違う方面に着いてしまいましたが汗
他のお客さんは行きたい方面だったのか(?)誰ひとり文句を言うこともなく、サンタさんに挨拶をしてバスを降りてみんなス―ッと去っていきました。
あの時は本当~にびっくりしました。
びっくりしたし…感動しました。
サンタさんのやさしさに。
もしかしたら、2人にとっては普通のこと、よくあること~だったのかもしれないですが、私にとってはものすごく印象に残っていて、忘れられない出来事です。
市営バスが、ルートと全く違う方向へ走って、おじいさんの家まで送り届けてあげる。
そのいつものルートのバス停で待っていたお客さんはどうなったの?とか、そのあとサンタさんがどこへ行ったのか?とか、いろいろな疑問は残ってるんですけど、そこはちょっと置いておいて…笑
ルールを守ることとか、時間に正確に…とか、そういうところを越えたやさしさを感じるエピソードだなぁって思うんですよね。

それから自由だなぁ、とも感じます。
だって、このようなことをしても、サンタさんは会社に咎められることはないのでしょう。
日本で同じことをしたら、どうなることやら?!
サンタさんにとっては特別でも何でもないことだったんでしょうね。
私にとっては特別な出来事でしたけど。
そんなやさしさをもったサンタさんは、一体どんな人生を生きてきたんだろう…
もちろん、サンタさんのすべてを知っているわけではないけど笑
きっと、他の人に対しても同じようにやさしさのプレゼントを配る、大きなハートを持っている人だったはず!
ルールを守ることや、正しくあることはもちろん大切だけど、本当に大切なのはやさしさなんじゃないだろうか?
人や世界を救うのはやさしさなんじゃないだろうか。
やさしさは強さでもある。
やさしくあることが、人も、自分自身を守ることにもつながる。
サンタさんのようにやさしく、大きなハートをもった人になりたいものです。
サンタさんからおじいさんへのやさしさを目にして、心をあたためてもらえた忘れられないエピソードです。
ありがとうバスの運転手のサンタさん!
(サンタさんではない笑)