アダルトチルドレンからの回復に欠かせないのは「頑張る」のをやめて「安心」を学ぶこと。

もしあなたが今、アダルトチルドレン(AC)ゆえの生きづらさを感じているなら、

・常に周りの人、周りで起きることを警戒している

・特に理由はないけどイライラする

・急に無気力になる

そんな状態に悩まされているかもしれません。

そのとき同時に不安や苦しさを感じるわけは、あなたの心が弱いからでも、性格の問題でもありません。

あなたの神経系が、子どもの頃に身を置いていた環境、経験したことや感じたことの影響を受けて「世界は危険だ」と設定されて、その設定が変化することなく今もそのままになっていることが原因です。

この神経の根深い警戒状態から回復するために欠かせないのが、「安心」を学ぶことです。

「安心」を学んでいくために、あなたの助けになる理論があります。

それが、いま世界中で注目されている「ポリヴェーガル理論(PVT)」です。

今回の記事では、このPVTとACとのつながり、そして心と体の土台を安全なものへと書き換えていくために今日からできることをご紹介します。

PVTは、私たちが無意識下で環境を「安全か、危険か」と判断し、それに応じて体の状態を切り替える自律神経系の働きを、進化の視点から3つの階層に分類して説明します。

この3つのシステムが、私たちの感情、行動、人との繋がり方を決めています。

  • 安全、リラックス、社会的関与を司ります。
    ポリヴェーガル理論(PVT)における最も新しい自律神経系です。
    心拍の安定化、呼吸の調整、表情、声の抑揚など、人との繋がりとリラックスを司るシステムです。
    「ここは安全だ」と感じているときは、腹側迷走神経系が活性化している状態です。
  • 他者との信頼できる繋がりを築き、共感、遊び、協力といった行動を可能にします。
  • 危険な防御モードである交感神経系(SNS)の過剰な活動を抑制する役割を担っています。
  • 活性化のサイン: 落ち着いた呼吸、リラックスした表情、心地よい声のトーン、安心感。
  • 闘争(Fight)または逃走(Flight)といった緊急事態への対応を司るシステムです。
    不安、イライラ、怒り、過活動、心拍数の増加など、身を守るためにエネルギーを動員します。
    ACの方が日常的に感じやすい「焦り」や「過緊張」はこの状態です。

    交感神経系は古くから存在する神経系で、脊椎動物の生存に不可欠です。
  • 危険を察知したときに、身体を戦闘または回避行動に移すためのアクセル役を担います。
  • 活性化のサイン: 不安、イライラ、怒り、過緊張、動悸、発汗、消化活動の抑制。
  • 生命の危機、不動、シャットダウン(Freeze/Shutdown)といった、極度の脅威への最終的な防御対応を司るシステムです。
    脊椎動物において最も古い自律神経系(爬虫類や魚類で見られる擬死反射など)に基づいています。
  • 極度のストレス下で、無気力、解離(現実感の喪失)、思考停止といった状態を引き起こします。
  • 活性化のサイン: 無力感、強い疲労感、解離、感覚の麻痺、消化不良、気分が落ち込む(うつ的になる)。

ACゆえの生きづらさを感じるわけは、VVCが働きにくく、常にSNSDVCに偏っている状態でいるから。

つまり、安心感を感じられることが少ない状況(VVCが働きにくい)の中で、常に危険を感じながら活動する状態(SNS優位)が続いてきた中で、ずっと頑張ってきたからなのです。

正確に言えば、頑張らなくてはいけなかったからなのです。

そんな状態が続くと、やがて活動するためのエネルギー不足に陥ってしまう(DVC優位)可能性があるということも示唆しています。

もしかするとあなたは、子どもの頃に身を置いていた環境、人との関わりの中で、心からの安心感を得られなかった、あなたの中に備わっている3つの神経系のうち、安心感を感じることで活性化するVVC働く機会が乏しかったのかもしれません。

毎日を生きることがサバイバルだった…とも言っても過言ではないかもしれません。

これからACから回復していくために必要なのは、なにかを「頑張る」ことではなく、「安心」を学んでいくことです。

AC回復の鍵は、防御モードを解除し、VVC優位安全な標準設定を神経系に再学習させることです。

VVCを活性化すると、脳の中にある危険を感知するセンサーである扁桃体の過活動を直接鎮静化させることができます。

VVCは心臓に分布していて、心拍を安定させるブレーキ役を担っています。

このブレーキを意図的に作動させることで、「体は安全である」という最も確実な信号を脳に送り返すことができます。

「安心」とは、「体がリラックスしている状態」のことです。

どんなに頭で「大丈夫」と考えて自分に言い聞かせても、心からの安心を得ることはできません。

体でVVCを作動させる、神経系に働きかけることが、根本的な変化をもたらします。

VVCを活性化させるための最も簡単で即効性のあるツールがあります。

それは、VVCが支配する呼吸声帯の動きを利用することです。

VVCは、息を吐く時に最も強く作動します。

不安や緊張を感じたら、意識して「吸う時間の2倍の時間」をかけて、ゆっくりと息を吐ききりましょう。

  • 例: 4秒吸って、8秒かけて吐く。
  • 効果: 意図的にVVCのブレーキを踏み、心拍数を緩やかに下げます。

普段、私たちは無意識に呼吸をしているので、呼吸に意識を向けることはあまりないかもしれません。

でも、意識をしてゆっくりと呼吸をすることは安心感を培うのを助けてくれるんです。

意識をして呼吸をしながら、空気が入ってくる感覚、出ていく感覚を丁寧に感じてみましょう。

きっと、これまでとは違う感覚を感じられるはずです。

穏やかさや、気持ちよさを感じられたら、その感覚を大切にして全身で味わいましょう。

VVCが支配する声帯や咽頭の筋肉を振動させることで、迷走神経を直接刺激してVVCを活性化させます。

  • ハミング: 低い声で「ん〜」と発声し、胸や喉に振動を感じます。
  • ガルグリング: 水を勢いよくガラガラとうがいをします。

この時も、声を出したときの感覚、水が口の中、喉に触れる感覚をじっくり感じてみましょう。

感覚に集中してみてください。

どちらも簡単に、やろうと思えば今すぐできることですよね。

毎日の習慣にすることもできますね。

一見、なにも特別感がないシンプルな行動ですが、これらを習慣として日常生活に組み込んでいくことは、「安全」を体で再学習するための土台になります。

「感じる」チカラを高めていくことにもつながっています。

ぜひ、今日から取り入れてみてくださいね。

ACから回復するために必要なことは、「頑張ること」ではありません。

あなたはすでに、子どもの頃から毎日頑張っているんです。

身を置いていた環境の中でできあがった<頑張らざるを得ないシステム>が、今もあなたの中で動いていて、ずっとずっと毎日頑張ってきたのです。

ACの回復には、自己肯定感自己受容自分を愛することが大切、と言われているのを聞いたことがあるかもしれません。

私も他の記事でそのように書いています。

【アダルトチルドレン】
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でも、それらはすべて「頑張ってできること」ではありません

自分を認めて、受け入れて、愛せるようになるために必要なこと。

それが、今ここにいることに「安心」を感じられるようになることです。

VVCの活性化を通じて身体の警戒が解けていくと、頑張らなくても自然と自分を認められるようになります。

すると同時に、不安や恐怖、イライラを感じることに繋がっている思考が静まって、感情の波が穏やかになっていきます。

本当の安心、心の平和は、頭ではなく身体で作られるものなのです。

最も優しく、最も根本的な回復の旅を始めてみませんか。

一緒にあなたの中に眠っている「安心する力」を呼び覚ましていきましょう。

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